先祖の遺徳

 とあるご縁から、大宮駅から車で30分くらいの斎場でのお葬儀を引き受けた(このところ、こういった依頼が増えて来たのは、歳の所為か‥?)

 冷たい小雨の降る中、一時間に一本のバスに乗り、降りてからもけっこう歩いたので、帰りはタクシーを呼んだ。

 特に公営の斎場では、備品が揃っていないことが多いので、チベット僧が使うシンバルのような妙鉢(ミョウハツ)や、簡易の木魚、お輪も用意し、冬の衣体(エタイ)も入れると、夏に比べてけっこうな重量がある。印度でも使われた妙鉢は、葬列の先頭が四辻に差し掛かるたびに道を間違えないように鳴らすように、引導を渡すときには欠かせない鳴り物なのだ。 
 お勤めを終えると、待っていてくださったのは、人の良さそうな初老の運転手さんだった。見るからに、「まんが日本むかばなし」にでも出て来るかのような、絵に描いたような優しそうなお爺さんだった。
  この辺りは、その昔はまったく何もなく、月のない夜などは本当に真っ暗で、幽霊さえも怖がって出ない場所だということだった。代々お百姓さんで、古い家はとても大きい曲がり屋で、醤油や味噌専用の建物があったというから、庄屋だったのだろうか?奉公人も五六人いたと云う話だった。
 ずいぶん歴史のある家屋だったので、大宮市から 重要文化財指定の話もあったらしいが、文化財指定を受けると補助金が出るわけでもなく、補修などの制限も大きくかえってたいへんなので、その話が現実化する前に建て替えたということだった。そういえば、私の実家の寺の観音像に関しても同様の話があったのを思い出した。


 旦那寺のことや墓の供養などの話をするうちに、「そういえば‥」とまんが日本むかしばなしのお爺さんは話を続けた。

 以前 、近所に身寄りない人がいて、亡くなった時に先々代が自分の墓所にその人を葬むり、墓参りの時には必ずその他人様の墓石にも参っていたという話だった。 ほとんどの場合、自分のことだけ、あるいは自分の家のことだけでも手一杯なものであるのに、人様のお葬儀や埋葬までお世話できるというのは、とても高い徳積みとなるに違いない。


 そのご先祖の遺徳が、このお爺さんを護っているんだと、そんな想いがした。

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