聖老人

 紀尾井町の坂を西に下り、南に折れて弁慶橋方面に向かう途中、ホテル・ニューオータニの東側に、今もザリガニが捕れる池がある。明治11年(1878年)、当地付近に自宅を構えていた内務卿を務める大久保利通が、この地で暗殺された事件の慰霊碑が建つ清水谷公園である。

 その公園の、紀尾井町から急に下る西斜面の肩に、大きな一本のケヤキの木が立っている。

 太さから見て、明治か江戸の頃からそこにずっと立っているのだろう。大黒柱にするには、少し難しそうな枝分かれをした樹形で、幼木の頃に苛められた様子が見て取れる。いくつもの震災や、東京大空襲などにも耐え、そのケヤキは一歩も動かずずっとそこに立っていたのだ。

 

 今は亡き人となった知人が、屋久島の縄文杉を「聖老人」と詠んだが、そのケヤキの前に立つと同じ言葉が思い浮かんでくる。

 できることならばその忍耐と、誰とも争わずに生きる智慧を学びたいものである。

 

 日に日に緑の濃さが増してゆく、春の頃の芽吹きの勢いはすばらしい。夏には涼しい木陰を作り、無数の虫や鳥を養い、秋には美しく色づいて、冬には葉を大地に惜しげもなく落として滋味豊かな土となる。広く張った枝と同じほどの根を、地中深く張ってしっかりと大地を捉え、豊かな水を蓄えている。

 

 私はこの生を終えたなら、このような樹になりたい。そして仲間たちとともに、豊かな森になる。

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